「あとは頼んだぞ、ロマーリオ」 「ああ、リボーンさん。」 「…それってふつーオレに言う台詞じゃねーの?」 「お前のファミリーの事なんだ、お前がやるのは当たり前だろ、ボス?」 「うぅわ…」 天を仰いでうめくオレに、意地悪な笑いをひとつ。 もうすぐ弟子との別れの時だってのに、リボーンはいつも通りそのもの。 「頼むからその呼び方はカンベンしてくれ、リボーン。」 ボス。―――部下の連中にそう呼ばれるのにも、最近やっと慣れてきた。 だけど、部下以外の人間―――特にこの、外見だけは可愛い赤ん坊のオレの教師―――リボーンに呼称されるのは耐え難かった。 きっとこいつには部下には言えないようなオレの情けない所も…っていうか、どっちかっていうと情けないところばっかり見られてるからだろうな。だから慣れないんだ。そう思う。 まだローマ法王にボス呼ばわりされるほうがぞっとしないぜ。 ま、どっちみち法王なんざオレには縁もゆかりも無いけど。 「なんでだ?なかなか板についてきてるぞ、ボォース?」 「〜〜〜〜〜やーめーろって・・・降参だ降参!」 引き続き絶好調なリボーンに、オレは早々と両手を挙げた。 このまま行けばいつまで経ってもイジメのネタにされちまう。 「何だつまんねー奴だなぁ、なあロマーリオ?」 「まったくだぜ、リボーンさん」 ノってこないオレに、リボーンは瞳をぱちぱちさせながらロマーリオと顔を見合わせる。こいつらこういう時本当に仲が良いよな。見ろ、あの楽しそうな顔! ふてくされるオレを皆が笑って、今度はオレがそれにつられて笑う。 いつも通りの光景。 世界の暗闇の一角を担うオレたちですら持っている、ささやかな日常。 それはリボーンがオレにくれたものの中でも、最も大切なもののひとつだ。 まだ信じられない。 もうほんの数分後には、オレの生活の中からお前が居なくなってるなんて。 |